jeu. 19 juin 2008

そして、シネクリシェ2.0へ[ブログ移転のおしらせ]

 突然ですが、このたびブログを移転することとしました。
 移転先はこちらです。

 このブログを立ちあげてから3年が経ちました。
 この間数多くの方からご支援いただいて今日まで至りましたが、ここらでブログを更改し心機一転を図ることにしました。

 移転先は、映画に留まらず幅広い話題を扱っていく予定です。
 したがって新名称は、バージョンも新たにということで「シネクリシェ2.0」と命名しました。バージョンアップにふさわしく、さらなるパワーアップに努める所存です。

 ということで、こちらにおきましては長いことご愛読ありがとうございました。
 そしてまた、新ブログにおきましても従来同様ご愛顧たまわりますようお願い申しあげます。

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ven. 13 juin 2008

大いなる陰謀

 相当に本格的かつ硬派な政治映画であり反戦映画でもあります。9.11やその後のアメリカを描いたり行政を批判したりした作品は枚挙にいとまありませんが、これほどまでに明確な直球勝負をしかけた作品も数多くないでしょう。

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sam. 07 juin 2008

隠し砦の三悪人(樋口真嗣監督)

 『椿三十郎』につづく黒澤映画のリメイク第2弾といったところでしょうか。
 森田芳光監督版『椿三十郎』が原典版を忠実に再現したのに対し、樋口真嗣がメガフォンを取った本作は、前作『日本沈没』と同様に大幅に改変。後半3分の2は別の話といってもいいくらい原典離れしています。
 それでありながら、原典版をオマージュするような形でところどころに引用のような部分が多見されるのが面白く、殊に原典版で有名な「裏切り御免!」のセリフも上手にアレンジされて使われています。
 自分は、改変しなければリメイクする意味がないという立場なので、このことは大いによしとします。

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dim. 01 juin 2008

バンテージ・ポイント

 久々に観た本格サスペンス。
 スペインを舞台とした米国大統領狙撃と爆破テロを巡り、当事者やその周辺の人々8人の視点からこの事件を描いた作品です。

Lire la suite "バンテージ・ポイント"

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ven. 23 mai 2008

砂時計

 ヒロインの少女時代を夏帆が務めていることと、ほとんどが山陰を舞台にしていることもあって、『天然コケッコー』を連想させられるところがあります。
 さらにいえば成人後の杏を松下奈緒が演じていることもあり、『未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~』を思わせるところがあります。

 本作は二部構成となっており、前半が少年少女時代の恋、後半が成人後の二人という図式の恋愛映画です。
 前半部で主人公杏は父親の借金が原因で東京から母親の実家がある島根に移り住むことになった上、母親の自殺に見舞われるなど不幸の嵐に襲われますが、友人の大悟に支えられ、それがいつしか愛に発展していきます。
 まさに、幼い愛というにふさわしい展開でした。

 ところが後半になると、とたんに興が削がれます。
 盛上がりに欠けるということもさるこさながら、やたらに繰返しやフラッシュバックを多用していますが、あまり効果を上げているとも思えません。
 このことは、傑作『秒速5センチメートル』と比較するとよくわかります。
 あの作品も、第1部・第2部が少年少女時代、第3部が成人後という構成でしたが、かんじんの第3部を極端にシンプルにし、その間の経緯を映像だけで説明していくという技が功を奏し感銘が深まっただけでなく、その前段階である第1部・第2部も引き締まりました。

 ラストは途中からほぼ想像がつく結末となりました。この結末をひねれば、少しは感銘も残ったかもしれません。
 ということで、この作品1本で『天然コケッコー』『秒速5センチメートル』『未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~』3本分が愉しめる1作ということかもしれません。

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ven. 09 mai 2008

クローバーフィールド/HAKAISHA

 内容としては、謎の怪獣(?)にマンハッタン島が襲われるというごく平凡なパニックものですが、全編ホームビデオという形態を取っているところが特異なところ。
 精緻な撮影ならばともかく、このようないかにも素人が撮影したという形態をとりながらの特撮はかえってむずかしかったのではないでしょうか。
 特撮パニックものも、同じような作品が次々にくり出されるから食傷気味ということで、このようにひとひねりしたのでしょう。

 いちおうは狙い通りの出来栄えになってはいますが、画質の悪さに加えてブレボケのオンパレードということで、観ていて非常に疲れてくるのは確か。
 あまりにスクリーンに集中していると、車酔いすることがあるかもしれません。ポスターにはその旨注意書きがありましたけど。

 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のような、純粋な低予算映画とは異なり、映像はともかく、よくみるとキチンとした(?)シチュエーションで撮影されていました。
 この作品の、マトモな映像バージョンというのが存在すれば、比較してみると面白いかも。

 ホームビデオによる撮影にもかかわらず、音響はなぜか実にクリアで重低音の迫力満点というのがご愛嬌でした。

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mar. 29 avr. 2008

潜水服は蝶の夢を見る

 ファッション雑誌の編集長として仕事にも遊びにも颯爽と生きてきたジャン=ドミニク・ホビーは、ある日突如として重度の脳梗塞に襲われ、左眼のまぶた以外の身体の自由をすべて奪われる……。

 重度の脳梗塞により全身の自由を奪われた主人公は、最後の表現手段である瞬きを使い必死にコミュニケーションを絶やさず、ついには書籍まで著します。
 もっとも残念なことに、主人公はあたかも上梓を待つかのようにこの世を去ることになるのですが……。

 一見すると、多くの人がご指摘されているように『海を飛ぶ夢』とテイストのよく似た作品ですが、よくみると訴えようとしているものはかなり異なります。
 3年前に観たスペイン映画は尊厳死を描くように見せて、その実展開しているのは痛烈な宗教(カトリック)批判でした。これに対し、本作は生や死の尊厳などではなく、生そのものを描こうとしているのです。
 だからむしろ、同じように全身の自由を奪われたことをネガティブ一辺倒に描いた『ミリオンダラー・ベイビー』の対極にある映画といってもいいかもしれません。
 もっとも『ミリオンダラー・ベイビー』は、身体障害そのものを描いた作品ではありませんけど。

 実のところこの作品、自分にとってそうとうに重い作品でした。
 私事ながら、母方の親戚は母をはじめとして祖母や伯母など多くの親戚が脳梗塞に見舞われてきました。
 このような遺伝性のみならず体質的にもコレステロールが常に高いなど、自分も将来的に脳梗塞を患う可能性がきわめて高い不安がつきまとわっているからです。
 この主人公は脳梗塞の中でも相当に重症であり、映画の中でもきわめてレアケースな症状である旨説明がされていますが、それにしても他人事とは思えませんでした。
 特に前半部の、主人公の一人称による描写は、人一倍重苦しく感じられました。

 一見奇妙なタイトルですが、"潜水服"を着せられたような身体の不自由さと、はそれにもかかわらず自由な空想力の象徴ともいえる"蝶"からきているようです。

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dim. 13 avr. 2008

ジャンパー

 主人公は、ごく平凡な学生だが、ふとしたきっかけからテレポーテーションの資質に目覚め、これを悪用して大金持になる……。
 これだけでは映画にならないので、映画は、テレポーテーション能力を持つ"ジャンパー"をつけ狙う謎の集団"パラディン"との対決という形を取っています。

 したがって、ストーリー自体はそれほど凝ったものではありません。
 CGの面白さと世界規模でのロケを目玉にするということに徹しており、あくまでも映像を楽しむ映画ということに徹しているものでしょう。

 ということで、淡泊な印象しか受けませんでしたが、エンディングの感じからして、シリーズものの第1作ということらしいです。まずはお手並拝見というところでしょう。

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ven. 21 mars 2008

ヒトラーの贋札

 ナチスに捉えられたユダヤ人の話。とはいっても、ホロコーストものとはひと味違い、偽札づくりの才能を買われ、国家ぐるみの偽札づくりに動員されるというもの。
 収容所暮しとしての待遇は決して悪くないものの、ナチスの先棒担ぎに荷担しなければならないこと、荷担しなければ死が待っていることの葛藤を描こうとしたものです。
 主人公は内面にこういったジレンマを抱えながらも、生き残ることに必死になっている姿を描こうとしたのでしょうが、それが果してどこまで描き切れたのかは首をかしげざるを得ません。

 むしろこの作品の両端で語られている、戦争が終り解放されてからの心の後遺症の方が印象に残りました。
 隠し持っていたナチスに作らされた偽金でカジノで放蕩。しまいにはすべて焼き捨てることにより、主人公の内面を描こうとしたものですが、むしろこちらの方がより心にしみるものがありました。

 テイストとしては5年前に公開された『戦場のピアニスト』に近いものがあります。あの作品は、ユダヤ人とナチス将校の交流がメインでした。
 こちらは主人公の内面を描こうとした作品であり、佳作であることは認めますが、さりとてアカデミー賞の外国語映画賞を受賞するほどの作品かどうか……。

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mer. 12 mars 2008

歓喜の歌

 "笑いと涙の……"などというキャッチフレーズはごくありふれていますが、この月並な文句がこれほどふさわしい映画も他にないでしょう。

 とはいっても、話はかなり身につまされるものでした。
 文化会館の予約に、うっかりダブルブッキングをしてしまったというもの。
 さぞや間抜けな公務員よと嗤う人も多いでしょうが、こういうミスは意外とうっかりやりかねないもの。あるいは、こういうトラブルと隣り合せにいる不安を持っている人も非常に多いのではないでしょうか。
 そしてその影響も、(さすがに人命に関わるようなものではないとはいうものの)この映画のように非常に大きいものがあり、組織の信用問題にまでなりかねません。
 それゆえに、前半部はあまり他人事とは思えませんでした。

 後半は、災い転じて福となすというように、トラブルも対応によってはむしろよい結果を生みだすこともあることの
 たしかにこの主任のトラブルに対する初期対応は最悪でしたが、トラブルの解決を通じて2つのコーラスグループの融和が図られるだけでなく、この主任もまた人として成長していくという話です。

 今年の日本映画の中でも、もっとも印象が深い作品となることはまちがいないでしょう。

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sam. 08 mars 2008

アメリカン ギャングスター

 この日は『ジェシー・ジェームズの暗殺』との2本立て。2作とも長大な作品でしたが『ジェシー~』がやや冗長に思えたのに対し、本作は興味尽きることがなく、最後まで楽しむことができました。

 アフリカ系アメリカ人が成功する過程を綴ったものといえば『ドリームガールズ』が記憶に新しいところですが、本作はいわばその裏社会版ともいうべきもの。

 最後は、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のようなテイストのエンディングとなりました。
 本作の最大の難点は、デンゼル・ワシントンがどうにも悪役に似つかわしくないことですが、こういう締めくくり方ならばなんとなく納得させられます。

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ven. 07 mars 2008

ジェシー・ジェームズの暗殺

 伝説のガンマンを主人公に取りあげた作品。寡聞にしてこの無法者の名は知りませんでしたが、殺人・列車強盗をくり返した極悪非道のならず者でありながら、彼を慕うものも多くその悲劇的な最期には同情が集ったという不思議な人物です。

 この作品のもっとも重要なのは最後の20分でしょう。悪を倒した者が果してヒーローとなり得るのか、悪はヒーローたり得ないのかという問いかけは、勧善懲悪のハリウッド映画としてはめずらしいものかもしれません。

 とはいうものの、こういったメッセージが伝わりにくいのは、ひとえに主人公のキャラクターが今一つみえてこないからです。
 悪役を主人公に据える作品はむずかしいところがあります。
 たいていがビッグスターを起用するから、あまりにイメージを落すような演出は避けるからでしょう。
 本当の素顔は、虫けらのように人を殺す冷酷きわまりない人物なのでしょうが、どことなく好人物にみえてしまうのです。

P.S.

 ウィキペディアを引くと、"ジェシー・ジェームズ""ジェシー・ジェイムズ"両方が載っています。
 本作の主人公は後者ですが、前者も映画関係者というのも面白いところ。

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mer. 05 mars 2008

ここに幸あり

 国家権力の頂点に立つ大臣が、ある日突然罷免され、権力もカネも失うものの、政治や仕事よりも大切なものがあることに気づく。……

 アメリカ映画や(一部を除く)日本映画のようなていねいな説明に慣れていると、あまりにぶっきらぼうな語り口に閉口するかもしれません。
 なにしろ説明らしい説明がほとんどないので、ただぼんやり観ているだけではストーリーの流れさえ掴めないかもしれないからです。

 アフリカの大臣が、自分も明日の我が身はどうなるかわからないというようなことを口にするシーンがありました。単なる社交辞令にはみえず、高い権力にいる者ほどその地位は不安定だということなのでしょう。









© Les Films du Losange
Galerie complète sur AlloCiné

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lun. 03 mars 2008

椿三十郎(森田芳光監督)

 原典版の『椿三十郎』といえば、傑作ぞろいの黒澤明映画のなかでも、もっとも完成度の高い作品の一つですが、それを脚本もほとんどそのままにリメイクするなど、無謀ともいえる企画ではないかとも感じました。
 だから見送ろうかとも考えましたが、反面どのような出来栄えなのか興味深いものもありました。

 結果は、ほぼ予想範囲内というところ。脚本が秀でていることもさることながら、映画もしっかりと作られているので安定感がありました。

 さて、原典版は忘れて純粋に作品を観るべきでしょうが、どうしても比較したくなるもの。
 とりわけ、キャスティングの差にはどうしても興味を覚えます。
 もっともハマリ役に感じられたのは、風間杜夫たち悪の三人組と佐々木蔵之介、そして中村玉緒。入江たか子の衣鉢を継ぐにふさわしい奥方役でした。
 主人公三十郎や若侍たちははまずまずこんなものでしょう。
 ただ、もっともハマリ役だと考えていたトヨエツが、なんとなく元気ないように感じられたのはなぜでしょうか。
 原典版の仲代達也のような迫力が感じられなかったのは残念でした。

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dim. 02 mars 2008

またも更新が遅滞していて申しわけありません。m(__)m

 まる1ヶ月以上、記事の更新をサボっており、コメントやTBのお返しさえすることができず、まことに申しわけありませんでした。
 3月に入りましたので少しずつ復帰する予定ですので、今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。
 簡単ながらおわびまで。

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lun. 14 janv. 2008

4分間のピアニスト

 刑務所でピアノを教えることになったトラウデは、ふとしたことから天才少女ジェニーと出合う。
 受刑者の中でも一番どうしようもない問題児だったが、トラウデによってピアノを通じ向上心に目覚め、ついにはピアノコンクールの決勝戦に出場することなる。……

 こう書くと、いかにもハリウッド好みのシンデレラストーリーのように思われるかもしれません。
 しかしそこはドイツ映画。そんな一筋縄でいくものではありません。
 タイトルにあるように、最後の4分間にとんでもないどんでん返しが待ちかまえているのです。

 この映画のすごいところは、登場人物の誰をも肯定していないところにあります。
 主人公のジェニーはいうにおよばず、ピアノ教師のトラウデもしかり。
 一見すると本作の語り手のような存在にみえますが、実は彼女には隠れた過去があるばかりでなく、偏狭な音楽観の持主として描かれていることと、トラウデの求める音楽とジェニーのそれとには大きな隔りがあることに注意すべきです。

 一見すると悪意に満ちた映画ということになるでしょうが、それでいて不快感をまったくといっていいほど感じさせないのはみごとなものです。

 それにしてもこのタイトルはうまい。長い時間をかけて築き上げた物語を、最後の4分間でトラウデが求める音楽を含め、すべてぶち壊し破壊するのです。
 そしてその向う岸には、主人公ジェニーが演ずる音楽のような、アメリカに代表される非ヨーロッパ文化が控えているのです。
 これは単にトラウデの世界を崩壊させるのみならず、あたかもヨーロッパ文化そのものを破壊し尽すかのようなエネルギーに充ち満ちています。そしてそれと同時に、この最後にいたってトラウデははじめて"ピアニスト"になりえるのです。
 そういう意味ではこの作品は、ヨーロッパ文化の異文化に対する相克ともいっても決して大げさではないでしょう。
 そして監督は、ヨーロッパ文化もそれ以外の文化も、決して安易に肯定していないのです。

 最後のシーンでの、ジェニーの初めてのおじぎ、観客からの喝采、そしてトラウデの不思議な微笑は、さまざまな解釈を下すことができます。
 映像はモノトーンのような渋い色調ですが、実にいろいろな色彩に彩られ、まことに味わい深い作品でした。

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ven. 04 janv. 2008

日本インターネット映画大賞に投票します【日本映画】

 昨日の外国映画部門にひきつづき、日本インターネット映画大賞日本映画部門に応募します。

【作品賞】
  「秒速5センチメートル 」       5点
  「夕凪の街 桜の国   」       5点
  「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」   5点
  「天然コケッコー    」       4点
  「しゃべれどもしゃべれども」      2点
  「それでもボクはやってない」      2点
  「めがね        」       2点
  「キサラギ       」       2点
  「舞妓 Haaaan!!!    」       2点
  「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」1点

【コメント】

 次点は「酒井家のしあわせ」と「赤い鯨と白い蛇」。
 最後の1作は、この2作と「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」の3作でかなり悩みましたが、これら2作は主演男優・女優さんをそれぞれ部門賞に推したので、作品賞からは外しこういう結果に落ちつきました。

 技術的というか、客観的にみた作品の出来からいえば、「キサラギ」と「それボク」をもっと上位に配点するべきでしょうが、このベストテンはあくまでも自分の好みで選ぶもの。あくまでも嗜好を優先させた結果のランキングです。
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【監督賞】

   [新海誠        ] (「秒速5センチメートル」)

【コメント】
 こういうメロドラマ……それも韓国映画のようなストレートなものではなく、ひねってある作品は自分のもっとも好むところです。
 後にNHKBSで旧作の「ほしのこえ」を観ましたが、このマイナーなアニメ作家の資質がただならぬものであることと、2作における叙情が共通していることをあらためて認識した次第です。
 とはいうものの実をひそかに「酒井家のしあわせ」を演出した呉美保を見送ったのもまた断腸の思いでした。


【主演男優賞】

   [ユースケ・サンタマリア] (「酒井家のしあわせ」「キサラギ」)

【コメント】
 「キサラギ」はもちろんですけど、「酒井家のしあわせ」に描かれていた独自の死生観は、単に呉美保監督の功績だけでなく、この遅咲きの名優の演技力にもあずかったところが大きいでしょう。


【主演女優賞】

   [香川京子       ] (「赤い鯨と白い蛇 」)

【コメント】
 1月にこの映画を観た時から、本賞はこの大器晩成型の大女優に捧げたいものと思っていました。
 結局1年を締めてみて、もっとも印象に残った女優さんとなりました。


【助演男優賞】

   [伊東四朗       ] (「しゃべれどもしゃべれども」)

【コメント】
 東京下町ご出身ではないにもかかわらず、あれだけ下町の雰囲気を身につけた役柄はみごとなものでした。


【助演女優賞】

   [永作博美       ] (「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」)

【コメント】
 部門賞の中でもっとも自信を持って推せるのがこの永作氏。
 さしてうまいと思えなかった佐藤江梨子や佐津川愛美まで光り輝いていたのも、彼女がワキを締めていたからでしょう。


【新人賞】

   [うだしげき      ] (「殯(もがり)の森」)

【コメント】
 この賞には毎年悩まされます。
 今回も「赤い鯨と白い蛇」の坂野真理や「酒井家のしあわせ」の友近などと迷いましたが、正直いって自信を持ってあまり強く推せるものではありません。
 前回までのようにスタッフも対象であれば、迷うことなく呉美保監督を選んだでしょう。
 あるいは該当なしでもよかったかも……。


【音楽賞】

  該当なし

【コメント】
 今回から復活した賞ですが、1年間あまり音楽を意識せず観てきたこともさることながら、あまり印象に残る音楽がすくなかったことも事実です。
 日本映画の躍進が著しいとはいえ、音楽は日本映画が欧米系の作品に比べもっとも劣るところ。より奮起を願うところです。
 (もっとも自分は、J-POPにあまり興味がないこともありますけど)
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【勝手に○×賞】

  該当なし

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 この内容(以下の投票を含む)をWEBに転載することに同意する。
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jeu. 03 janv. 2008

日本インターネット映画大賞に投票します【外国映画】

 昨年1年間の総括を兼ね、日本インターネット映画大賞外国映画部門に応募します。
 日本映画部門はまた明日。

【作品賞】
  「リトル・ミス・サンシャイン」  5点
  「DOA        」    4点
  「ツォツィ       」    4点
  「ONCE ダブリンの街角で」    3点
  「ボビー        」    3点
  「カンバセーションズ  」    3点
  「約束の旅路      」    3点
  「ヘアスプレー     」    2点
  「今宵、フィッツジェラルド劇場で」2点
  「ディパーテッド    」    1点

【コメント】
 年明け早々に観た「リトル・ミス・サンシャイン」があまりに鮮やかだったので、今年はこの作品を措いて他にないのではという気がしていましたが、果してそのとおりとなりました。
 部門賞でもも、監督賞や助演女優賞など、消去法で選んでいくと、結局はこの作品がらみが多くなってしまいました。
 総じていえば、自分にとっては「リトル・ミス・サンシャイン」の1年だった、とまでいいきってしまえるくらいの年でした。

 「ブラッド・ダイヤモンド」「ラストキング・オブ・スコットランド」などアフリカを舞台ないしは関係する秀作が目立ちましたので、今年の映画のキーワードはアフリカなのかとも思ったりしましたけど、いざふたを開けてみると、作品賞として推せたのは「ツォツィ」のみでした(イスラエルを舞台にした「約束の旅路」も、広い意味では"アフリカ関連"ですけど)。
 これらの作品が見劣りしていたというわけではなく、あくまでも全体のレベルが高かったからといえるでしょう。

 「カンバセーションズ」は、おそらく世評は高くないものと思いますが、あくまでも自分の好みだけで取りあげました。
 オトナの恋を描いた作品はたくさんあり、たとえば「リトル・チルドレン」などもいい例ですが、二人の会話のみで成立たせ、しかも特殊な撮影方法がなかなか効いていた作品ということで、今年印象に残る一作となりました。
 「今宵、フィッツジェラルド劇場で」や「ボビー」もその系譜の一つです。

 概していえば、図抜けた作品はない代りに、水準以上の作品が多かった年といえるのではないでしょうか。
 今年度のアカデミー賞作品賞や監督賞にノミネートされたりノミネートされそこなったりした作品群が、例年に比べてレベルが高いと感じたものの、いざふたを開けてみると「リトル・ミス・サンシャイン」を除けば、「ディパーテッド」以外まったく対象外となってしまいました。

 そして今年感じたのは、B級映画を創るのは(そして選ぶのは)、実は意外とむずかしいということ。
 「プラネット・テラー」2部作や「アドレナリン」など、期待が高かったもののかなり見劣りしたものばかりか、「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」にいたってはむしろ悪意さえ感じられたものですが、それに対して「DOA」は理屈抜きに楽しむことができました。
 これは単に色気攻め(?)のせいばかりとはいえず、かといってどういう要因でこういった明暗を分けたのは定かではありません。
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【監督賞】

   [ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス] (「リトル・ミス・サンシャイン」)

【コメント】
 本賞の候補もたくさんいそうで、かなり頭を悩ませることになりそうと考えていましたが、いざ選ぶとなると、このアメリカの良心ともいえる作品を演出したお二人に捧げることとしました。


【主演男優賞】

   [マット・デイモン   ] (「ディパーテッド」「グッド・シェパード」「ボーン・アルティメイタム」)

【コメント】
 自分が部門賞で、エンターテイメント系の作品を演じたハリウッドの大物(?)を選ぶことなどほとんどありませんが、これだけ水準以上の作品に出演したとなれば、選ばざるを得ないでしょう。


【主演女優賞】

   [ジョディ・フォスター ] (「ブレイブ ワン 」)

【コメント】
 あとの候補は「こわれゆく世界の中で」のジュリエット・ビノシュ、「あるスキャンダルの覚え書き」のジュディ・デンチあたり。
 いずれも、作品賞に挙げていない作品ばかりというのが面白いところ。
 ニッキー・ブロンスキー(「ヘアスプレー」)という選択肢もありましたが、新人賞に挙げたので、ここはハリウッドきっての知性派に譲ることとします。


【助演男優賞】

   [ギャリソン・キーラー] (「今宵、フィッツジェラルド劇場で」)

【コメント】
 候補者が皆無に近い状態で、どうしたものかかなり悩みました。
 正直申しあげて、ほぼ苦しまぎれの選択。(^^;


【助演女優賞】

   [アビゲイル・ブレスリン] (「リトル・ミス・サンシャイン」)

【コメント】
 「ドリームガールズ」のビヨンセ・ノウルズというのがまっとうな選択かもしれませんが、「リトル・ミス・サンシャイン」からどうしても1人選びたいため。


【新人賞】

   [ニッキー・ブロンスキー] (「ヘアスプレー  」)

【コメント】
 外国映画・日本映画各部門を通して、毎年頭を悩ませるのがこの新人賞です。
 定義があいまいなことと、自分はデビュー作であることを原則としているため、抽出がむずかしいからです。
 しかし今年はなんら迷うことなく、「ヘアスプレー」で大活躍したおチビちゃんを推すことができました。
 他の候補としては「今宵、フィッツジェラルド劇場で」のギャリソン・キーラー、「約束の旅路」のシラク・M・ザバハなど。


【音楽賞】

  「ONCE ダブリンの街角で」

【コメント】
 本賞は、日本映画部門では結局のところ決めかねられず"該当なし"として放棄してしまいましたが、外国映画部門の方は、全部門賞を通じもっとも自信を持って推せる作品(人)となりました。

 今年も「ドリームガールズ」や「ヘアスプレー」など、ハリウッドからもミュージカルの秀作が公開されました。
 これらはいずれも質の高い作品ばかりで、ふつうならば文句なしに賞に推すことになるでしょう。
 しかしながら今年もっとも感銘を受けたのは、イギリスで制作されたこの珠玉ともいえるマイナーな作品でした。
 おそらく「ドリームガールズ」や「ヘアスプレー」にくらべ、何十分の一という低予算で製作された作品でしょうけど、一つひとつの音楽が心にしみ入る名曲ぞろいでした。
 そして映画としても、今年もっとも印象に残る一作となりました。
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【勝手に○×賞】

   [名演小劇場](名古屋市にあるミニシアター)

【コメント】
 あまり足繁く通う映画館ではありませんが、ここで観る作品でハズレることなどまずありません。
 特に今年は、「約束の旅路」「ツォツィ」そして日本映画ですが「めがね」と、すべて作品賞に推した作品ばかりでした。
 これからも良質な秀作を提供しつづけていただけることを期待しています。

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 この内容(以下の投票を含む)をWEBに転載することに同意する。
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lun. 31 déc. 2007

更新が遅滞していて申しわけありません。m(__)m

 公私ともに繁忙で、まる1ヶ月の間映画を観ていません。
 この10年間で、これほどブランクがあいたのは初めてです。
 とはいうものの、年末となりようやく時間もできたため、少しずつ遅れを取り戻す予定です。

 ということで、もう少しお待ち下さい。年が明ければ、日本インターネット映画大賞への投票をはじめとして、年末に観るいくつかの作品を紹介できる予定です。

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dim. 16 déc. 2007

呉清源 極みの棋譜

 かなり以前からこの映画の話は耳にしていましたが、なかなか公開されず立ち消えになったと思いきや、やっと陽の目を見ることとなりました。
 囲碁を若干なりともたしなむ自分としては、待ちわびていただけに喜びもひとしおです。
 とはいうものの、一般的に囲碁や将棋の映画など、いままではたいていはハズレ。
 果して内容はだいたい懸念したどおりでした……。

 自分が知る限りでは、囲碁の映画は『未完の対局』以来です。
 囲碁・将棋・麻雀など、単に座って対局しているだけですから映画のような視覚に訴えるツールとしては不向きであること、今となってはマイナーな競技であること、そしてなによりも、囲碁の歴史やエピソードがあまり広く知られていません。したがって、観る人も前提知識がない方がほとんどでしょう。
 この作品も、呉清源の半生記という形を取りながら、自身の歴史的対局である秀哉名人との記念対局や木谷実との十番碁のみならず、原爆下の本因坊戦広島対局など、多くの囲碁ファンが周知の歴史的対局をちりばめながら戦前から戦後にかけての日本囲碁史が語られていますが、説明がほとんどないので一般の人にこれらの対局の意義がどれほど理解されたかどうか。

 そして、よぶんな説明などどんどん省いて映像だけで語ろうとしたことは大いにけっこうですが、かなり舌っ足らずであることも事実です。
 不世出の天才と謳われながら、日本と中国との関係が一番むずかしい時期に来日し不安定な棋士生活を過した葛藤が、囲碁を知らぬ人にどれくらい伝わったでしょうか。
 華やかな対局成績よりも、特に璽宇教との関わりについて大きく割いているのが予想外でした。ただこれによって、呉清源があの時期宗教にのめり込んでいた動機もかなり理解できました。

 とはいっても『未完の対局』のような酷さは感じられなかったのには安堵しました。
 あの作品では感情表現の過剰演出のみならず、とりわけ対局時の石の打ち下ろしのさまには閉口させられました。
 碁石を打つというよりも、まるで碁盤に碁石を埋めこもうというような手つきでした。
 真のプロ棋士が静かに碁盤に向い石を打ちおろすさまは、どのような名優でも演じきることができないのかもしれません。

 そういえば『未完の対局』も、フィクションとはいえかなり呉清源をモデルにしたところがありました。やはり呉清源という棋士は、棋士としてもドラマの主人公としても魅力的な存在なのでしょうか。

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ven. 07 déc. 2007

ブレイブ ワン

 今年観た外国映画の中では屈指の作品です。
 ハリウッド映画としてはかなりの異色作ですが、このような殺人を肯定する作品がどこまで受入れられるかはちょっと不安です。
 ラストにはかなり賛否が分れるのではないでしょうか。自分は肯定派ですが、予想とまったく外れました。ハリウッドの書法からは、いかにその動機が納得できるものであっても、殺人者はなんらかの形で罰せられるものですから。
 とはいうものの、銃肯定論者のプロバガンダ的なイデオロギーを感ぜずにはいられませんでしたけど。

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ven. 23 nov. 2007

めがね

 これはいい。
 前作『かもめ食堂』は、悪い作品ではありませんでしたが、正直いってそれほどのものかという感想でした。
 しかしながらこの作品はすばらしい。前作の延長線上とはいえ、さらに深化させ完成度の高い作品に仕上っています。

 本作最大の成功要因は、土地を匿名にしたことでしょう。
 前作は海外を舞台にしたこともあり、ヘルシンキという地名を前面に出さざるを得ませんでした。
 今回は(実際には与論島でロケしたらしいですが)、南国とはいえ架空の土地での物語でなおかつ登場人物のプロフィールや経歴をまったく省略化してしまい、きわめて単純化してあります。
 単純化といえばなによりも、舞台やストーリーをここまでシンプルにできた力量はすごいものがあります。
 小説にしろ映画にしろ、ドラマや登場人物の動きがあればそこそこにみられるものになるはず。
 もっともむずかしいのは、ドラマらしいドラマが生ぜず、しかも登場人物が動かないこと、それでありながら退屈させない作品に仕上げることだと思っています。
 本作品は、このようなことをもののみごとに成功させた希有な例ではないでしょうか。

 しかしながらこの感覚はどのようにして表現したらよいでしょうか。
 スローライフやロハスというのとも少し違う、まさに荻上直子としかいいようのない独特の雰囲気です。

 そして小林聡美、光石研の演技のすばらしいこと。
 さらにまた、もたいまさこがここまで存在感のある女優さんだとはおもってもいませんでした。
 本作はこの3人にとっては、まちがいなく代表作となりえるでしょう。

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sam. 17 nov. 2007

未来予想図~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~

 若者の間では評判よさそうでしたし、あらすじに興味を覚えましたので、だまされた気分になって観に行きました。
 が、これが面白くない。
 一番の原因は、ストーリーにひねりがないことでしょう。三角関係が発生するわけではないし、かといっていわゆる純愛ものといえるほどシリアスなものでもない、中途半端なことが原因だったのではないでしょうか。
 それと、最初は結婚しなかった(というよりも、できなかった)にもかかわらず、なぜ再会してから突然結婚することにしたのかがわかりません。
 籍を入れても、今まで通りこのまま別居生活を続けるつもりなのでしょうか。
 最初の別離の原因は、男の側のスペイン渡航だったはずなのに。

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dim. 11 nov. 2007

グッド・シェパード

 静謐な映像の中にも緊迫感をたたえた、予想以上の佳作でした。
 2時間半を超える長尺の作品ですが、まったく冗漫さを感じさせません。
 静かなるハードボイルドとでもいうべき作品でしょうか。

 『ゴッドファーザー』を思わせるような語り口で『ミュンヘン』のような世界が描かれていますが、結局はマフィアもテロリストもCIAも同じようなものということでしょうか。


P.S.

 映画に取りあげられるCIAというと、スパイなどの非合法活動のことばかりが描かれていますが、実際にはこれらの活動はCIA全体のなかのコンマ以下。
 現実は、ほとんどが合法的な情報収集などを業務としているはずですので、この映画のような陰の部分だけでなく、光の部分を描いた作品も観たいものです。

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dim. 04 nov. 2007

ONCE ダブリンの街角で

Once 非常に前評判が高く、またタイトルからも良作そうな雰囲気がうかがえるので、公開早々さっそく観に行きました。
 期待を上回る傑作でした。決して派手さはありませんが、特にエンディングがとてもよいので、観たあとに静かな余韻が残る作品です。

 音楽が非常に重要な作品です。
 先日観た『ヘアスプレー』と比較し、作品の質のみならず音楽のタイプも対極といっていい作品ですけど、音楽によって作品に強い生命力が与えられたという点では共通しています。
 ある意味では、今秋を飾るまったく異質な2大音楽映画といえるでしょう。
 音楽が映画の質を高めている作品は枚挙にいとまありませんが、この作品などまさにそう。
 キャット・スティーブンスやキャロル・キングを彷彿とさせるような音楽がちりばめられていますが、作品の8割方はここに織りこまれている音楽の勝利といっていいすぎではありません。
 逆にいえば、音楽がここまで上質でなければ、これほどの作品に仕上ったかどうか定かではありません。

 もっとも、ストーリー自体はそれほど風変りなところはありません。
 それどころか、展開にやや稚拙な面が感じられます。
 たとえば、バンドのメンバー探しがあっけなかったり、レコーディングのために資金調達に奔走するもののいとも簡単に融資を受けられたり(銀行員が突然ギターの弾き語りを始めたのは爆笑ものでしたけど)、周辺の人(中古楽器屋や主人公の父親)が彼らの音楽に理解ある人ばかりだったりと、やや話がうますぎる感もしました。
 もっともこの辺の展開を屈折させると、作品に陰りが生じ、それが作品に決してプラスには働かないかもしれませんけど。

 それと、ほぼ全編に亘って手持撮影でしたが、やや安っぽく感じられ、ところどころ自主製作映画のように感じられたところがあったのは残念でした。
 最後のシーンなどは、おそらくクレーンを使ってかなり本格的に撮っているはずにもかかわらず、あまりそういうところが感じられませんでしたから。

 今年観た数多くの映画の中でも、屈指の作品です。

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