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dim. 26 mars 2006

ジャーヘッド

 この映画を、たとえばオリバー・ストーンあたりが観たら、どのような感想を洩らすだろうか……、これがこの作品を見終ったあと、まず頭に浮んだことです。

 ひと昔前の戦争映画というと、ベトナム戦争ものに代表されるように、戦争の怖さやむなしさ、あるいは帰還後の後遺症などが描かれることが多いです。
 あるいはふた昔前だと『コンバット』『史上最大の作戦』等に代表される第二次大戦もののハリウッド映画(あるいはテレビ番組)のように、強い米軍が敵軍を威勢よくやっつけるアメリカ賛美映画がその代表でしょう。

 ところがこの作品はまったく趣を異にします。
 海兵隊に入隊した主人公たちは、文学青年からいっぱしの自営業者まで、出自や動機はさまざまですが、とにかく志願兵のようです。少なくとも厭戦家ではありません。
 厳しい訓練にも耐え、いざ闘志満々で戦地に赴きますが、戦闘はいっこうに始まる気配がありません。
 そして何ヶ月もの間、彼らがやることはひたすら"待つ"ことだけ。退屈な時間がダラダラと過ぎ去ります。
 彼らの日常は、戦場での緊張感などとはまったく無縁で、あたかも体育会系クラブの合宿といった感さえあります。

 そしていよいよ戦闘が始るかと思いきや、それらしいシーンはごくわずか。
 前線に乗りこんだはよいものの、戦闘は戦闘機からの爆撃などにより済まされてしまっており、主人公たち海兵隊の活躍の場はありません。
 彼らの仕事といえば、掃討され尽した"激戦"の跡に乗り込んで最後の仕上げということでしょうが、残されているものはもののみごとに破壊し尽された跡ばかり。目の前に広がるのは、黒こげの残骸と遺体しかなく、敗残兵のかけらもおりません。いわば、形ばかりの歩兵隊員に過ぎないのです。

 これらを観ていて連想したのは、我われの身近で日々くり広げられいる土木工事です。
 昔は土木作業というと、土方さんたちの重労働やその劣悪で危険な労働環境といったことが連想されましたが、現代では相当の部分が機械化されておりまったく様変りしてしまっているといわれています。
 戦争もこれとまったく同じで、戦闘も高度な"機械化"によって"省力化"や"自動化"がなされてしまっているのでしょう。
 土木でもおそらく昔は、現場には腕のいい職人さんがいて彼らの技術に頼らなければ業務を遂行できなかったのでしょうが、大型新鋭機械の登場でこれら技能者の力を借りる機会が激減したようです。
 この作品でも、いよいよクライマックスにさしかかり敵の高級士官への狙撃という重要な任務が命ぜられ、いよいよ主人公たち腕利きのスナイパーが技術を発揮できると思いきや、それとても戦闘機に先を越され殲滅させられてしまうというありさま。結局彼らはただの一人も敵を倒すことはできず、出番はないまま戦地を彷徨しているだけで戦争が終結してしまいます。
 いわば「遅れてきた青年」の湾岸戦争版ともいうべきか。

 劇中に、『地獄の黙示録』の有名なヘリコプターでの奇襲シーンを観ながら、海兵隊員たちがワルキューレの騎行を大合唱するシーンがありましたが、あのシーンがこの映画を象徴するかのようでした。
 あの後すぐに、ベトコンの激しい抵抗に遭って大苦戦を強いられますが、結局のところナパーム弾で殲滅することになります。
 この映画は、戦争にキルゴア中佐のようなカリスマ司令官など不要、大型の破壊兵器で蹂躙してしまえば、味方の労力や犠牲は極端にへらすことができるとでもいいたいのでしょうか。

 ということでこの作品、これ以上転ぶとコメディになってしまうぎりぎりのところで成立しているような作品ですが、それでもなおかつやりすぎではないかと思われるシーンも目立ちました(デットマンのカミさんが浮気ビデオを送りつけるところなど)。
 これは果して作者の意に沿っているものかどうか、いまもってわかりません。

 ということで、とにもかくにもまさに新しい時代の戦争映画と呼ぶにふさわしい一作。

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Commentaires

私的には微妙に物足りない映画でした。
まず何よりもフルメタルジャケットとのオマージュ以上の類似性が気になりました。
知り合いでこの戦争に出征してた奴もいますが、こんな事やってたのかと思うとリアリティは感じるんですけどね。
とりあえず、こんな頭悪そうな下ネタ軍団と戦争したくないというのは激しく思いました(´Д`)

Rédigé par: ノラネコ | le lun. 27 mars 2006 à 02:10

こんばんは。
TBありがとうございます。

良い悪いは別にして<たぶん良い事なのかもしれないが>歩兵の機械化というものによって、ベトナム戦争やフォークランド紛争で生身の人間が感じ、深い後遺症として残ったストレスというものは軽減されたのでしょう。
前線と言われる所があまりにも暇になったからアブグレイブ刑務所などでイラク人に対するバカな虐待拷問をしてたのかもしれない。
しかし、それも戦争慣れした彼の国だからこそであり、攻められる方は彼の国程の物量もないだろうから非常に深刻な事態になってるのでしょうね。

どんな大義があったとしても、戦争はくだらないと思います。

Rédigé par: 16mm | le dim. 26 mars 2006 à 21:21

TB有り難うございました。
>新しい時代の戦争映画
まさにその通りだと思います。良くも悪くも、これが今のアメリカを象徴する一つなんだと思いました。

Rédigé par: Boh | le dim. 26 mars 2006 à 17:41

こんにちは!TBありがとうございました(^^)
妻が夫に、浮気ビデオを送ったのは、嫌~な思いで見てました。
ジェイクやサースガードが、素晴らしかったです!
やるせなくて、忘れられない作品になりました。
こちらからも、TBさせて頂きますね♪

Rédigé par: | le dim. 26 mars 2006 à 17:27

TB有難うございます。
僕も新しい戦争映画と思いましたが、
オリバーストーン監督がどう思うか、僕も
興味を持ちました。
9・11の映画を撮っている人が、湾岸戦争をどう描くかも見てみたいですね。

Rédigé par: yamasan | le dim. 26 mars 2006 à 17:11

こんにちは。TBありがとうございます。
こういう視点で描かれている戦争映画は珍しいですね。
なかなか興味深かったです。

Rédigé par: もじゃ | le dim. 26 mars 2006 à 16:51

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