« イルマーレ | Accueil | 地下鉄<メトロ>に乗って »

sam. 11 nov. 2006

椿三十郎■黒澤明クロニクル~20

 『用心棒』にひきつづき、三十郎を主人公にした時代劇。実質的に続編というかシリーズものといえるでしょう。
 黒澤明が続編を作製したのは2回だけです。とはいっても、もうひとつの『続姿三四郎』は会社の命でしぶしぶ作った作品とのこと。
 本作も東宝から三十郎もののアンコールによって作られたものですが、もともとは別の監督が作る予定だった作品を自ら志願したもの。山本周五郎作「日々平安」を三十郎バージョンに仕立てたもので、本人もけっして不承不承というわけではないようです。
 事実『用心棒』に負けず劣らずの人気作品で、自分もどちらかというと本作の方が好みです。

 娯楽性のきわめて高い前作と同様、本作もまさにエンターティメントですが、この作品が作られた1961年という時代背景を鑑みるときわめて興味深い作品です。
 というのも、なにかというとすぐに刀を抜き、それでいながらでくのぼう扱いされている血気盛んな若侍たちは、あきらかに学生運動を揶揄したものと読み取れるからです。学生運動に血道を上げていた若者たちを茶化したつもりでしょうか。
 黒澤映画に現れる家父長制的要因についてはいろいろな論者から指摘がありますが、自分はこの作品から『赤ひげ』にかけては、それ以前の『酔いどれ天使』などのそれとは少し趣が異なるような気がします。
 そしてそれは、学生運動への批判および当時の学生運動側からの黒澤映画に対する批判に対する反撥が籠められていたのでしょう。



    黒澤明クロニクル バックナンバー

  1. 姿三四郎

  2. 一番美しく

  3. 続姿三四郎

  4. 虎の尾を踏む男たち

  5. わが青春に悔いなし

  6. 素晴らしき日曜日

  7. 酔いどれ天使

  8. 静かなる決闘

  9. 野良犬

  10. 醜聞

  11. 羅生門

  12. 白痴

  13. 生きる

  14. 七人の侍

  15. 生きものの記録

  16. 蜘蛛巣城

  17. どん底

  18. 隠し砦の三悪人

  19. 悪い奴ほどよく眠る

  20. 用心棒

|

« イルマーレ | Accueil | 地下鉄<メトロ>に乗って »

Commentaires

Poster un commentaire



(Ne sera pas visible avec le commentaire.)


Les commentaires sont modérés. Ils n'apparaitront pas sur ce weblog tant que l'auteur ne les aura pas approuvés.



TrackBack

URL TrackBack de cette note:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/95111/12640222

Voici les sites qui parlent de 椿三十郎■黒澤明クロニクル~20:

» 『椿三十郎』(1962) 『用心棒』の続編という枠を打ち破って、真のヒーローとなった三十郎。 [良い映画を褒める会。]
 黒澤明監督の1962年制作作品です。キャラクターの名前からも明らかな通り、大ヒット作『用心棒』の続編作品です。『用心棒』は、その後イタリアでも『荒野の用心棒』として、黒澤サイドの許可も無く丸ごとコピーされました。そのコピーが世界的な大ヒットとなった、といういわくつきの作品である『用心棒』の続編が、この『椿三十郎』です。... [Lire la suite]

Notifié le le sam. 11 nov. 2006 à 22:35

» 黒澤明 『椿三十郎』 [黒澤明 ~日本映画 監督篇~]
『用心棒』に続いて、三十郎(三船敏郎)がはたまた大暴れをする娯楽時代劇。映画全体の風格では『用心棒』に軍配が上がるだろうけど、娯楽性においてはこちらの方が、面白いんじゃないかな。また例の如く綿密に練られたシナリオで、観る側をハラハラドキドキさせるドラマ展開は、現代の日本映画においても今なお、充分お手本になると思います。 ... [Lire la suite]

Notifié le le dim. 12 nov. 2006 à 22:41

« イルマーレ | Accueil | 地下鉄<メトロ>に乗って »