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ven. 05 janv. 2007

長い散歩

 傑作『るにん』に続く奥田瑛二の新作ということで期待はしていた反面、大きな賞を受賞したことがことさらに取りあげられていたのでやや不安もありました。
 しかしながらいざふたを開けてみると、その杞憂もなかったばかりか、今年観た作品の中でももっとも感銘を受けた作品の一つでした。

 埋れた傑作『キッドナップブルース』を超える作品がいよいよ登場したという感です。
 ただし、スチール写真家の浅井慎平がメガフォンを取り、若きタモリが主演した四半世紀前の異色作は、あくまでも映像詩に徹しており、本作とはそうとう狙いが異なります。
 また、生と性のうねりを叙事詩風に描いた『るにん』と比較しても、かなり傾向が変っています。
 メッセージ性が強いばかりか、幼児虐待問題など昨今社会を騒がせたかわいそうな事件を連想させるような時事性の強い作品でした。
 このようなテーマであるため、ややもすれば説教臭く感じられそうなところですが、あまりそういうところが感じられないのが傑作の傑作たるゆえんでしょう。

 主人公は定年退職をした初老の男という設定ですが、勤め人時代は家庭を顧みない男で、家族からも蔑視されてきた男という設定ですが、このあたりをあまり強調せずそれとなく流したところがうまい。
 子供とともに旅するロードムービーはいままでも無数に作られてきましたが、旅で出会った人たちの交流などの要素はきわめて薄く、旅をともにすることになった若者のエピソードだけに集中させている点が異色といえば異色です。
 ロードムービーの定跡とは異なり、旅が終って男も少女も特になにも変るものもなく、旅に終始していたというのも特徴です。彼らの旅は、あくまでも巡礼のようなものなのでしょう。

 こうなると奥田瑛二の次回作『風の外側』に対する期待がいやがおうにも高まります。

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