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lun. 14 mai 2007

約束の旅路

 幼少期にエチオピアからイスラエルに移住した少年の成長を描いた作品で、舞台はエチオピア・イスラエルだけでなく、フランスにまで広がっているスケールの大きな一大叙事詩です。

 アフリカ問題を真正面から扱った『ナイロビの蜂』のような作品と思いきや、国籍も親も名前も、そして民族性までも失った青年の自分探しの物語でした。
 予想以上にすばらしい作品だったにもかかわらず、このような佳作がフランス映画祭での公開以来2年間もお蔵入りしていたのは、ひとえにこの作品の背後にある国際情勢のややこしさにあるといっていいでしょう。

 そもそも、エチオピア在住のユダヤ人をイスラエルに移送(帰還)させるモーセ作戦なるものを寡聞にして知らなかっただけでなく、アフリカ系のユダヤ人というものが存在していること自体初耳でした。
 モーセ作戦をWebで検索しても、日本語サイトでは本作に関連するコンテンツ以外にはほとんど載っていません。
 同作戦は84年に実行に移されたものとのことで、概略は映画サイトシネマカフェに載っていますが、主人公を演じた俳優や子役たちも実際にこの時にエチオピアから移住してきた移民が中心とのことです。

 この作品のミソは2つあります。
 ひとつは、ユダヤ人ということでイスラエルに移り住んだ少年は、実はユダヤ人でないこと。アフリカの窮状を憂いだ非ユダヤ人の母親が、ユダヤ系の女性に実子として託したものなのです。
 そして養子として迎えられたイスラエル人家族は、敬虔なユダヤ教徒ではなく、実は左派に属しているところにひねりが加えられています。
 左派ということは強硬な反パレスチナというわけではないはずなのに、それでいて愛国者であるというのも、イスラエルの特殊な国情なのかと思ったりもします。
 このような背景を横糸にして、湾岸戦争時のイラクのイスラエル攻撃などを縦糸として織り交ぜながら展開される、国籍も名前も出自も失った主人公の自分探しの物語です。

 このように、アフリカ問題だけでなくイスラエルの国情など、我々になじみのないばかりか理解しにくい点もありますが、そういう予備知識なしにも充分鑑賞できる作品です。
 なおこの作品、一昨年にフランス映画祭で公開された際には原題「Va, Vis Et Deviens」をそのまま翻訳した『行け、生きろ、生まれ変われ』という邦題でした。Webサイトを検索する際は、この旧題もキーにするのがよいでしょう。


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Commentaires

>カオリさん

 コメントありがとうございました。

|フランス映画際のときは、この映画の原題のままの邦訳、だったんですね・・・。

 どうもこのあたりを読んでいると、そのようですね。
 繰り返しになりますが、2年間も公開されなかったのが不思議でなりません。

http://www.unifrance.jp/festival/archive.php?langue=JAPANESE&num=2005
http://www.eigaseikatu.com/news/13301/

Rédigé par: クリシェ | le jeu. 17 mai 2007 à 22:57

こんにちは。TBさせていただきました。
フランス映画際のときは、この映画の原題のままの邦訳、だったんですね・・・。初耳でした。

私も早速ブログ募金に参加しました!

Rédigé par: カオリ | le jeu. 17 mai 2007 à 15:00

>ユニさん

コメントありがとうございました。
非常にスケールが大きく、またユダヤ民族固有の事情など我われに馴染のない問題を扱っていますが、それでいて心にしみる作品でしたね。

Rédigé par: クリシェ | le mer. 16 mai 2007 à 07:27

TBありがとうございました☆
この作品はとても難しかったですね…。
でも「逢えてよかった作品」であることに間違いはありません。DVDになったらまた観てみたいと思っています。

Rédigé par: ユニ | le lun. 14 mai 2007 à 23:42

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