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jeu. 17 mai 2007

クィ-ン THE QUEEN

 1997年にダイアナ妃が不慮の死を遂げた事故を採りあげた作品。とはいっても、その謎の死を追及しようという主旨ではありません。
 彼女の急逝に対する英国王室の冷淡にみえる対応ぶりと、こういう態度に対する英国民の反撥、そして王室を説得しようとするブレア首相ら政府首脳との確執を描いた作品です。

 事件の直後、王室が事件に関してコメントを出さずひたすら沈黙を続けたことについて、王室側はダイアナ妃は離婚して王室の人間ではないからといい張ります。
 とはいうものの他家の人間とはいえ、女王エリザベス2世の孫の母でもあるのですから、それは方便に過ぎないでしょう。
 その背後には王室の、ダイアナ妃に対する感情もあったことは想像に難くありません。

 しかしエリザベス2世のこの判断が裏目に出ます。
 国民の故人に対する追悼の情が厚く献花は宮殿前を埋めつくし、政府は国葬とすることに決めます。
 そしてかたくなな態度を曲げない王室に対しマスコミは一斉に叩きに走ります。アメリカ大統領をはじめとする各国元首までもがダイアナ妃の急逝に対する哀悼のコメントを発するに至って頂点に達するのです……。

 たしかに筋論としては王室が取った行動はわかりますが、コメントを出さぬばかりか国を挙げての騒ぎをほったらかしにして、あたかもダイアナ妃の不幸を無視するかのように狩猟に興じるのは、国民感情を無視しているとしかいいようがありません。
 そしてこれが、大昔ならばともかく、マスコミも発達し行政による言論統制などない今日からすれば時代錯誤といえるでしょう。

 この話は、あくまでも王室の威厳を保とうとする保旧派と、新しいスタイルの王室を作っていこうとする改革派の対立を、その狭間に位置するエリザベス2世を語り手としてあえて悪役として扱った作品と解釈しています。
 そのことは、終盤近くになってブレア首相の、エリザベス2世に対する評(若くして女王に即位し、50年もの間その重圧に耐えてきたこと)に凝縮されているといっていいでしょう。

 エリザベス2世を演じたヘレン・ミレンの演技はさすがで、これにはかなり苦労したものと思われます。
 淑女の代表ともいうべき英国女王という役柄ですから、感情の起伏を表現はきわめてむずかいしものがあります。
 声を荒げたり電話をたたきつけるように切ったりする直裁的な表現はできません。静謐な表情の中で心の葛藤を表現するのは至難の業だったことでしょう。

 この作品を観て特に感じたことは、英国ではこういう王室の態度に対し批判の矛先が直接女王に向けられたこと。
 たとえば仮に、日本の皇室でこのような事態が起きた場合のことを考えてみると、批判の矢は皇族ではなく宮内庁の幹部など周辺関係者に対し向けられることになるでしょう。
 つまり英国ではそれだけ王族の自主性が大きいということなのか、日本では側近の力が大きいということなのか、それとも日本のマスコミが皇族に遠慮しているということなのかはわかりませんが。


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Commentaires

コメントありがとうございました。

>さわやか革命さん

「悪役として」というよりも「悪役のような役割で」というべきでしょうかね。

>カツミアオイさん

文化的な相違もありますし、なによりも皇室よりもはるかに開けている感じです。今回の鑑賞でそれが一層強く感じられました。

Rédigé par: クリシェ | le lun. 28 mai 2007 à 05:45

 こんにちは、TBありがとうございました。
 仇花というか、最後の砦というか、そんな印象でしたね。

 イギリス王室は、日本皇室と違って、数百年ずつの間に家系が大幅に変わってしまっている、という点で、「王家は国民たちによって変えられうるもの」という認識が強いのかもしれませんね。(もちろん、皇室も直系子孫は途切れている部分は多いですが。)
 革命も昔はあったわけですし、捉え方が違っている可能性はあります。

Rédigé par: カツミアオイ | le lun. 28 mai 2007 à 00:47

見ていて女王が「悪役」という印象はしませんでしたが?
どころか観客のほとんどは女王の方に感情移入してしまうと思います。彼女を悪役にしたのは当時のマスコミの方でしょう。
少なくとも私個人について言えば、「頑固な旧時代の遺物」という印象はこれを見て覆されました。

もちろん、クリシェさんはそれを踏まえた上であえて「悪役」とおっしゃっているのかも知れませんが。

Rédigé par: さわやか革命 | le dim. 20 mai 2007 à 10:31

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