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lun. 14 janv. 2008

4分間のピアニスト

 刑務所でピアノを教えることになったトラウデは、ふとしたことから天才少女ジェニーと出合う。
 受刑者の中でも一番どうしようもない問題児だったが、トラウデによってピアノを通じ向上心に目覚め、ついにはピアノコンクールの決勝戦に出場することなる。……

 こう書くと、いかにもハリウッド好みのシンデレラストーリーのように思われるかもしれません。
 しかしそこはドイツ映画。そんな一筋縄でいくものではありません。
 タイトルにあるように、最後の4分間にとんでもないどんでん返しが待ちかまえているのです。

 この映画のすごいところは、登場人物の誰をも肯定していないところにあります。
 主人公のジェニーはいうにおよばず、ピアノ教師のトラウデもしかり。
 一見すると本作の語り手のような存在にみえますが、実は彼女には隠れた過去があるばかりでなく、偏狭な音楽観の持主として描かれていることと、トラウデの求める音楽とジェニーのそれとには大きな隔りがあることに注意すべきです。

 一見すると悪意に満ちた映画ということになるでしょうが、それでいて不快感をまったくといっていいほど感じさせないのはみごとなものです。

 それにしてもこのタイトルはうまい。長い時間をかけて築き上げた物語を、最後の4分間でトラウデが求める音楽を含め、すべてぶち壊し破壊するのです。
 そしてその向う岸には、主人公ジェニーが演ずる音楽のような、アメリカに代表される非ヨーロッパ文化が控えているのです。
 これは単にトラウデの世界を崩壊させるのみならず、あたかもヨーロッパ文化そのものを破壊し尽すかのようなエネルギーに充ち満ちています。そしてそれと同時に、この最後にいたってトラウデははじめて"ピアニスト"になりえるのです。
 そういう意味ではこの作品は、ヨーロッパ文化の異文化に対する相克ともいっても決して大げさではないでしょう。
 そして監督は、ヨーロッパ文化もそれ以外の文化も、決して安易に肯定していないのです。

 最後のシーンでの、ジェニーの初めてのおじぎ、観客からの喝采、そしてトラウデの不思議な微笑は、さまざまな解釈を下すことができます。
 映像はモノトーンのような渋い色調ですが、実にいろいろな色彩に彩られ、まことに味わい深い作品でした。

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Commentaires

 こんにちは、TBありがとうございました。

 本当、予告編見たときは、ありがちなヒューマンドラマだと思ったんですがね~。良い意味で裏切られました。

 クラシック音楽を扱った映画でありながら、かなりロックやビート感を、しばし雑音として、しばし高揚として使うセレクトは、すごい、の一言です。
 また、よく「感動的なシーンで、その場で流れるはずもないのに流れるBGM」として音楽を使っていないことに好感を持ちました。
 先生が殴られた直後のシーンなど、BGM?と思ったら、弾いてた!っていう流れなどですね。

Rédigé par: カツミアオイ | le mer. 20 févr. 2008 à 01:59

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